2025年10月21日、石破内閣が総辞職しました。在職日数386日という短期政権となりましたが、その間に残した足跡と課題について総括します。
在職期間と歴史的位置づけ
石破総理の在職日数は386日間で、戦後に就任した総理36人中24位という記録となりました。決して長期政権とは言えませんが、この期間に多くの政策課題に取り組み、一定の成果を残しました。
衆議院解散と政権運営の転換点
戦後最短の解散総選挙
石破総理は就任からわずか8日後という戦後最短での衆議院解散に踏み切りました。しかし、自民党の派閥裏金問題などの影響により選挙では大敗を喫し、少数与党への転落を余儀なくされました。この結果が、その後の政権運営に大きな影響を与えることとなります。
主要な政策成果
教育・社会保障分野
野党との協議を通じて実現した政策として、以下が挙げられます:
高校授業料の無償化 教育機会の均等化を図る重要な施策として、高校授業料の無償化を実現しました。これにより、家庭の経済状況に関わらず、すべての生徒が高校教育を受けやすくなりました。
年収103万円の壁の見直し パートタイム労働者の就労促進と収入向上を目指し、いわゆる「103万円の壁」の見直しを行いました。この改革により、働き方の選択肢が広がることが期待されています。
防衛・安全保障政策
自衛官の処遇改善 自衛隊員の待遇改善に積極的に取り組み、人材確保と士気向上のための施策を推進しました。これは日本の安全保障体制強化の基盤となる重要な政策です。
防災庁の設置準備 頻発する自然災害への対応強化を目指し、防災庁の設置に向けた道筋をつけました。災害大国日本における防災行政の一元化は、長年の課題でした。
地方創生と農業政策
地方創生の推進 石破総理が長年取り組んできた地方創生政策を継続・発展させ、地方経済の活性化に努めました。
コメ政策の転換 コメ価格の高騰に対応するため、政府備蓄米を放出するとともに、事実上の減反政策を転換し、増産方針を決定しました。これは日本の農業政策における大きな転換点となりました。
外交成果
積極的な首脳外交
在任中に90か国以上の首脳と会談を行い、日本の国際的プレゼンスの維持・向上に努めました。
対米関係
アメリカのトランプ政権との間で関税交渉などの重要課題に取り組み、日米経済関係の安定化に尽力しました。
政権の終焉
参議院選挙での敗北
7月の参議院選挙でも敗北を喫したことで、党内から「石破おろし」の声が高まりました。最終的に、総裁選前倒しの是非を問う手続きが始まる前に、自ら退陣を表明することとなりました。
新政権への移行
石破内閣の総辞職を受け、自民党の高市総裁が第104代の総理大臣に選出される見通しです。高市氏が選出されれば、日本初の女性総理大臣の誕生となり、歴史的な転換点となります。
まとめ
石破内閣は短期政権に終わりましたが、少数与党という困難な状況下で、野党との協調を通じて重要な政策を実現させました。特に、教育の無償化、防災体制の強化、農業政策の転換など、日本の将来に影響を与える重要な改革に道筋をつけたことは評価されるべきでしょう。
一方で、政権基盤の弱さから十分な改革を実行できなかった面もあり、これらの課題は次期政権に引き継がれることとなります。日本政治は新たな局面を迎えることとなりますが、石破政権が示した課題と成果を踏まえ、より良い政治の実現が期待されます。

