2025年10月4日、自民党総裁選で高市早苗前経済安全保障担当相が新総裁に選出され、日本初の女性総理大臣誕生が確実となりました。15日に召集予定の臨時国会で首相指名選挙が行われ、同日夜には新内閣が発足する見通しです。
高市新総裁は「全世代総力を結集して取り組んでいる自民党にしたい」と述べ、総裁選で競った4候補全員に活躍の場を提供する意向を示しました。少数与党という厳しい政治状況の中、挙党体制で船出する高市内閣の閣僚人事について、予想してみます。
党役員人事:麻生派を軸に挙党体制
副総裁:麻生太郎氏(85歳)
高市氏勝利の最大の立役者となった麻生太郎最高顧問が副総裁に就任する方向で調整が進んでいます。麻生派に属する国会議員の多くが高市氏に票を入れたとみられ、その功績を評価する形です。
麻生氏は元首相であり、党内で絶大な影響力を持つ「キングメーカー」。副総裁という立場から高市政権を支える布陣となります。
幹事長:鈴木俊一氏(74歳)
麻生派の鈴木俊一総務会長が幹事長に起用される見通しです。鈴木氏は麻生氏の義弟でもあり、麻生氏の意向を踏まえた人事と言えます。
総務会長、財務大臣、環境大臣などの要職を歴任した鈴木氏は、党内調整に長けたベテラン政治家です。少数与党下での国会運営において、野党との折衝や連立拡大の交渉を担う重要な役割を期待されます。
その他の党四役
総務会長には、党内のバランスを考慮した人事が予想されます。各派閥から支持を得るため、総裁選で高市氏を支持した旧安倍派や旧二階派からの起用が考えられます。
政調会長は政策立案の要となるポストで、高市氏の経済政策「アベノミクス2.0」を推進できる人材が求められます。経済通の議員や、高市氏と政策的に近い保守派からの起用が有力です。
選挙対策委員長は、今後予想される衆議院解散・総選挙を見据えた重要ポストです。選挙に強い実績を持つ議員が求められるでしょう。
閣僚人事:総裁選候補者の処遇が焦点
小泉進次郎氏:重要閣僚として起用か
決選投票で敗れた小泉進次郎農相(44歳)の処遇が最大の焦点です。若手世代を代表する小泉氏は、国民的知名度も高く、その動向は政権の求心力に直結します。
予想ポスト
- 外務大臣:国際的な場面での発信力を活かせるポスト
- 経済産業大臣:成長戦略の推進役として
- デジタル大臣:若い世代へのアピール
高市氏は総裁選で「全員に活躍していただきたい」と明言しており、小泉氏を重要閣僚として処遇する可能性が高いでしょう。ただし、農林水産大臣の留任もあり得ます。
林芳正氏:官房長官留任の可能性
林芳正官房長官(64歳)は、外相や文科相などの要職を歴任したベテランです。石破内閣でも官房長官を務めており、政権の継続性を考慮して留任の可能性があります。
留任のメリット
- 政権運営の経験豊富
- 野党との関係も良好
- 国会対応に精通
ただし、高市氏が新たな布陣を敷く場合は、別の重要ポストに異動する可能性もあります。財務大臣や外務大臣などが考えられます。
茂木敏充氏:閣僚として起用
茂木敏充前幹事長(69歳)は、外相や経済産業相を歴任した実力者です。総裁選では存在感を示せませんでしたが、その実務能力は党内で高く評価されています。
予想ポスト
- 財務大臣:経済政策の要として
- 経済産業大臣:産業政策に精通
- 外務大臣:外相経験を活かして
高市氏は挙党体制を掲げており、茂木氏を閣僚として処遇する方向で調整が進むとみられます。
小林鷹之氏:若手の抜擢か
小林鷹之元経済安保相(50歳)は、総裁選で目立った成果は上げられませんでしたが、経済安全保障の専門家として知られています。
予想ポスト
- 経済安全保障担当大臣:前職の経験を活かして
- デジタル大臣:若手世代の登用として
- 副大臣クラス:将来への布石
高市氏が「全世代総力を結集」を掲げる以上、若手・中堅世代の代表として何らかの形で処遇される可能性があります。
側近・支援者の処遇
木原稔氏:要職に起用か
木原稔前防衛相は、2021年の総裁選で高市氏の選対事務局長を務めた側近中の側近です。高市氏との関係が深く、要職への起用が浮上しています。
予想ポスト
- 官房長官:政権の要として
- 防衛大臣:前職の経験を活かして
- 党幹事長代理:党務の中核として
推薦人グループからの登用
総裁選で高市氏を推薦した20人の議員からも、閣僚や副大臣への登用が予想されます。
注目される人物
- 古屋圭司氏:推薦人筆頭、党要職の経験豊富
- 片山さつき氏:女性閣僚として起用の可能性
- 有村治子氏:女性活躍担当など
- 松島みどり氏:法務大臣など
主要閣僚予想一覧
以下、筆者による高市内閣の閣僚予想です。
官房長官:林芳正(留任)または木原稔 副官房長官:高市側近から複数名
財務大臣:茂木敏充または鈴木俊一 外務大臣:小泉進次郎または茂木敏充 防衛大臣:木原稔(留任)または小林鷹之 総務大臣:片山さつき または新任 法務大臣:松島みどり または経験者 経済産業大臣:小泉進次郎または萩生田光一 厚生労働大臣:田村憲久 または加藤勝信 農林水産大臣:小泉進次郎(留任)または交代 国土交通大臣:旧二階派から起用 環境大臣:若手の登用 デジタル大臣:小林鷹之 または IT系人材
経済安全保障担当大臣:小林鷹之または高市氏自身が兼務 経済再生担当大臣:経済政策の要として新設または強化 女性活躍担当大臣:有村治子など女性議員から
人事のポイント
1. 世代バランス
高市氏は「全世代総力を結集」を掲げており、ベテラン、中堅、若手のバランスを考慮した布陣が予想されます。80代の麻生氏から40代の小泉氏まで、幅広い世代が参画する内閣となるでしょう。
2. 派閥バランス
麻生派を軸としつつ、旧安倍派、旧二階派、無派閥からも起用し、党内融和を図る人事が基本方針となります。
3. 女性の登用
日本初の女性首相として、女性閣僚の積極的な登用が期待されます。片山さつき氏、有村治子氏、生稲晃子氏など、女性議員からの起用が予想されます。
4. 専門性重視
高市氏は政策通として知られており、各分野の専門家を適材適所で配置する可能性が高いでしょう。
課題と展望
高市内閣は、少数与党という厳しい政治環境でのスタートとなります。連立政権の枠組み拡大、野党との協調、国民の信頼回復など、課題は山積しています。
閣僚人事では、これらの課題に対応できる実務能力の高い人材を配置しつつ、総裁選で競った候補者を適切に処遇することで党内の結束を図る必要があります。
成功のカギ
- 総裁選候補者全員の適切な処遇
- 世代・派閥のバランスを取った挙党体制
- 専門性と実務能力を重視した人選
- 女性の積極的な登用
高市氏は就任会見で「ワークライフバランスという言葉を捨てます」と述べ、馬車馬のように働く決意を表明しました。その強い覚悟のもと、どのような閣僚を選び、どのような政策を推進していくのか。
日本初の女性首相の船出を、国民は注目しています。7日にも正式決定される党役員人事、そして15日の組閣に向けて、政界の動きから目が離せません。
※本記事は2025年10月6日時点の情報に基づく予想です。実際の人事とは異なる可能性があります。

