2026年2月8日投開票の第51回衆議院議員総選挙に向けて、れいわ新選組が公約を公表しました。結党以来一貫して掲げる「消費税廃止」を筆頭に、「まず分配、そして成長」という独自の経済政策を打ち出しています。本記事では、れいわ新選組の公約の要点を詳しく解説します。
山本太郎代表の議員辞職と党の現状
山本太郎代表の議員辞職
2026年1月21日、山本太郎代表は健康上の理由により参議院議員を辞職しました。「多発性骨髄腫、血液のがんの一歩手前にいる」と明かし、今回の衆院選には立候補せず選挙戦にも参加しない意向です。ただし党代表職には留まり、意思決定には関わっていくとしています。
党勢の推移
れいわ新選組は2019年に山本太郎氏が立ち上げた草の根政党です。2024年10月の第50回衆院選では3議席から9議席へ躍進。現在は衆参合わせて15名の国会議員を擁し、今回は31名の公認候補を擁立。大石晃子共同代表や高井崇志幹事長らを中心に戦います。
経済政策の柱:消費税廃止とインボイス撤回
消費税の廃止
公約の筆頭に掲げるのが消費税の廃止です。れいわは消費税を「消費に対する罰金」と位置づけ、低所得者ほど負担が重い逆進性を批判。財源としては法人税の累進課税導入、所得税の累進強化、金融資産課税の導入などを挙げ、必要に応じて国債発行による財政出動も行う考えです。インボイス制度の撤回も求めています。
インフレ対策給付金
物価高対策として、季節ごとに10万円の「インフレ対策給付金」を全国民に支給。夏と冬には冷暖房費補助の緊急給付も実施するとしています。
積極財政への転換
「政府の財源は税金だけではない。新規国債の発行も財源のひとつ」という立場を明確にし、プライマリーバランス黒字化目標を破棄。介護・医療・子育て、エネルギーなどの分野で大胆な財政出動を行うとしています。
社会保障改革:後期高齢者医療制度の廃止
後期高齢者医療制度の廃止
「後期高齢者医療制度は持続不可能」として、同制度を廃止し全額を国庫負担とすることを公約に掲げています。現役世代の保険料負担軽減が狙いです。
国民健康保険の国費負担割合を41%から50%に引き上げ、介護保険の国庫負担も50%以上に引き上げ、介護保険の利用者負担を全員1割に戻すなど、社会保険料全般の負担軽減を訴えています。
介護・医療従事者の処遇改善
年間3兆円の投資で介護従事者の給与を月10万円引き上げ、年間7200億円で保育従事者の給与も月10万円引き上げ。ケア分野の待遇改善で人材を確保する方針です。
子ども・子育て政策:月3万円の子ども手当
子ども手当と教育無償化
所得制限なしで全ての子どもに月3万円を高校卒業まで給付。年少扶養控除の復活も掲げています。教育面では、幼児から大学院まで保育・教育の完全無償化、高校の希望者全入、小中学校の給食無償化を訴えています。
奨学金徳政令
奨学金返済に苦しむ約580万人の借金を帳消しにする「奨学金徳政令」を掲げ、すでに返済した人への補償も検討するとしています。
エネルギー政策:脱原発とグリーン・ニューディール
原発の即時禁止
原子力発電所は「即時禁止」とし、政府が買い上げて廃炉を進めます。原発立地地域には電源三法交付金と同様の財政支援を継続し、「廃炉ニューディール」で地域の産業・雇用を維持します。
再生可能エネルギー100%を目指す
2030年までにエネルギー供給の70%を再生可能エネルギーで、2050年までに100%達成を目指します。温室効果ガスは2030年までに70%削減、2050年までにゼロへ。10年間で官民合わせて200兆円のグリーン投資を行い、毎年250万人規模の雇用創出を目指しています。
外交・安全保障と憲法
安全保障分野では、現行憲法の尊重と専守防衛の堅持を掲げています。
防衛費増額の中止
5年間で総額43兆円が見込まれている防衛費増額を中止。敵基地攻撃能力の保有にも反対の立場です。
現行憲法の尊重
「現行憲法を最大限活かす政治を目指す」として、以下の立場を明確にしています。
- 自衛隊明記のための改憲は不要
- 緊急事態条項の新設に反対(「事実上の独裁条項」と批判)
- 憲法25条(生存権)の実践を重視
政治改革
自民党派閥の裏金事件と旧統一教会問題について、国会に「調査特別委員会」を設置して徹底究明。政策活動費の禁止、政治資金収支報告書のデータベース化も掲げています。
まとめ:「生きているだけで価値がある社会」を目指して
れいわ新選組の公約は、「日本を守る、とはあなたを守ることから始まる」という理念のもと、消費税廃止、社会保険料の国庫負担増、子ども手当の拡充、脱原発など、生活者目線の政策を柱としています。
最大の特徴は、「まず分配、そして成長」という経済哲学に基づく積極財政路線です。「税金だけが財源である」という考え方を否定し、国債発行も含めた大胆な財政出動を主張。後期高齢者医療制度の廃止、介護・保育従事者の月10万円賃上げなど、具体的な数字を示した政策が並びます。
今回は山本太郎代表が健康上の理由で選挙戦に参加しないという異例の状況です。山本代表の街頭演説が党の求心力だっただけに影響は小さくないと見られますが、組織基盤は2024年衆院選の躍進を経て強化されています。
「30年の不況で困窮する人々の生活を根底から底上げ」「障がいや難病を抱えていても将来に不安を抱えることなく暮らせる社会を実現する」——れいわ新選組が掲げるこのビジョンが有権者にどう響くか、選挙結果が注目されます。


