2026年2月8日投開票の衆議院選挙に向けて、参政党が公約を公表しました。神谷宗幣代表のもと、「ひとりひとりが日本(I am JAPAN)」というスローガンを掲げ、経済・移民問題から食料安全保障、教育改革まで、既存政党とは一線を画す政策を打ち出しています。
公約の全体像:「3つの柱と9の政策」
参政党は2020年設立の比較的新しい政党で、2022年の参議院選挙で国政進出を果たしました。今回の公約は「日本人を豊かにする」「日本人を守り抜く」「日本人を育む」という3つの柱で構成され、それぞれに3つの政策が紐づく形になっています。
第1の柱:日本人を豊かにする(経済・産業・移民)
第1の柱では、経済政策と移民政策を軸に「日本人の豊かさ」を追求します。
政策1:「”集めて配る”より、まず減税」
参政党の経済政策の核心は「国民負担率の引き下げ」です。現在約45.8%に達している日本の国民負担率を35%に抑え、可処分所得を増やすことを目指します。
具体策として、消費税の廃止とインボイス制度の廃止を明確に掲げています。他党が「減税」や「軽減」を主張する中、「廃止」を明言している点が特徴的です。また、積極財政による社会インフラ再整備を通じて地方経済を活性化させ、GDP1,000兆円という目標を設定しています。
政策2:「日本はまだ間に合う “NO!移民国家”」
移民政策については、参政党は明確に「移民国家化」への反対を打ち出しています。「日本の国づくりは、日本人で担う」という考えのもと、労働力不足の解決を安易な移民依存に委ねない方針です。
具体策として、外国人総合政策庁の新設、受け入れ総量と運用の厳格化、不法滞在への取り締まり強化、外国人による不動産取得の厳格化を挙げています。技術流出や情報工作に備えた「スパイ防止法」の整備、オーバーツーリズム対策も掲げています。
政策3:「現場の人が支える日本」
製造業、建設業、運送業、医療介護福祉、警察・消防・自衛官など「現場で働く人々」への待遇改善を掲げています。
具体策として、中小企業を救う消費税減税と投資の促進、ものづくり・AI・コンテンツ(アニメ等)産業の国際競争力強化支援、「学歴よりもスキルで決まる報酬制度」の導入を挙げています。
第2の柱:日本人を守り抜く(食と健康・一次産業・エネルギー)
第2の柱では、食料安全保障とエネルギー政策を中心に据えています。
政策4:「食は人の天なり」
参政党は食料安全保障を「国家の安全保障そのもの」と位置づけています。徒然草の言葉を引用し、食を守ることの重要性を強調しています。
具体策として、食料自給率100%という意欲的な目標を掲げています。一次産業従事者の所得確保と「公務員に準じた身分と待遇」の実現、食品表示の充実、地産地消のオーガニック給食の推進などを具体策として挙げています。現在の日本の食料自給率(カロリーベース)は約38%であり、100%という目標は他党と比較しても極めて野心的です。
政策5:「エネルギーと資源確保が生命線」
エネルギー政策では、再生可能エネルギー偏重からの転換を訴えています。
具体策として、メガソーラーや風力発電など「環境負荷の高い再エネ推進」の即時見直しと、再エネ賦課金の廃止を主張。レアアースの回収・代替・再利用の国家戦略化も掲げています。脱炭素政策については「安全保障と現実のコストに基づいて再構築」するとし、現在の脱炭素路線に批判的な立場を明確にしています。
政策6:「安心医療で健康国家」
医療制度については、予防重視への転換と現場負担の軽減を掲げています。
具体策として、診療・介護・障害福祉報酬の抜本的引き上げ、基礎年金受給額の底上げ、医療・介護・福祉従事者の賃金アップと過重労働の改善を掲げています。健康維持・重症化予防に取り組む人へのインセンティブ付与、新型コロナ対応の検証と感染症対策の再構築も挙げられています。
第3の柱:日本人を育む(教育・人づくり)
第3の柱では、少子化対策と教育改革、国家観の醸成を掲げています。
政策7:「子ども一人につき月10万円」
少子化対策として、参政党は大胆な経済支援を打ち出しています。0歳から15歳までの子ども一人につき月10万円の教育給付金を支給するという政策です。
具体策として、継続的な経済支援と多子世帯優遇の税制導入、「0歳児保育等の行き過ぎた母子分離政策等の見直し」を掲げています。月10万円は子ども1人につき年間120万円、15年間で1,800万円という規模です。
政策8:「受験戦争からの解放」
教育改革では、偏差値重視の教育からの脱却を訴えています。
具体策として、「それぞれの子どもの得意分野を伸ばし、誇りを持って社会で評価される教育」を目指すとしています。教員の加配や効率化による業務削減と処遇改善、不登校や発達障害などそれぞれの子どものニーズに合った選択肢としてのフリースクール充実も掲げています。
政策9:「日本はみんなの家」
最後の政策は、国民の帰属意識と責任感の醸成を目指すものです。参政党の政策の中で最も特徴的な部分といえます。
具体策として、「日本が好きになる歴史教育」を通じた主権者意識・公共心・日本人の誇りの育成、地域共同体や家族の絆の再構築、16歳からの投票権付与、国旗損壊罪の制定を掲げています。16歳投票権については「家族で日本の未来を考えてもらうため」という理由が示されています。
参政党公約の特徴:既存政党との違い
参政党の公約を他党と比較すると、いくつかの特徴が浮かび上がります。
第一に、消費税「廃止」を明言している点です。多くの政党が「減税」や「時限的措置」を主張する中、完全廃止を掲げる政党は限られています。第二に、「NO!移民国家」という移民政策への明確な反対姿勢。第三に、メガソーラーや風力発電の見直し、再エネ賦課金の廃止という再生可能エネルギー政策への批判的スタンス。第四に、「日本が好きになる歴史教育」「国旗損壊罪の制定」など、歴史教育や国家観に踏み込んだ政策です。
まとめ:参政党が描く「日本」の姿
参政党の公約「ひとりひとりが日本」は、経済、食料安全保障、教育、国家観という幅広い分野をカバーしています。消費税廃止、国民負担率35%、食料自給率100%、子ども一人月10万円など、数値目標を明確に示している点が特徴です。移民政策や再エネ政策、歴史教育については既存政党と異なる立場を打ち出しており、選挙戦での議論が注目されます。


