2026年2月の衆院選に向け、日本維新の会が「動かすぞ、維新が」をスローガンに公約を発表しました。自民党との連立政権で「政策実現政党」として「エンジン役」を自任し、「経済・政治・日本を動かす3つの改革」を掲げています。
経済改革:社会保険料引き下げが「一丁目一番地」
社会保険料の大幅引き下げ
最優先課題として「現役世代1人あたりの社会保険料を年間6万円引き下げる」と明示。実現のための医療制度改革:
- 高齢者の医療費窓口負担を現行の1割から3割へ引き上げ
- 国民医療費を年間4兆円以上削減
- OTC類似薬の保険適用除外
- 電子カルテの普及率100%達成
消費税改革
物価高対策として食料品の消費税率を2年間に限りゼロに。中長期的には消費税率を10%から8%に引き下げ、軽減税率制度を廃止。
フロー大減税と規制改革
所得税・法人税の減税、勤労所得税額控除の導入、給付付き税額控除による低所得層支援。労働市場の流動化、ライドシェア等の既存産業への参入障壁撤廃により「現役世代の給料を倍増」を目指す。
年金制度の抜本改革
世代間格差を解消するため、現行の賦課方式から積み立て方式へ移行、または最低所得保障制度(ベーシックインカム)を導入。ベーシックインカムは毎月6~10万円程度の給付を想定し、生活保護、基礎年金、児童手当などを統合。
政治改革:徹底的な「身を切る改革」
政治腐敗の浄化
自民党の裏金問題を受け、政治改革を公約の冒頭に記載:
- 企業・団体献金の全面禁止
- 政策活動費の廃止:使途の報告義務がない資金の廃止
- 旧文書通信交通滞在費(旧文通費)の改革:使途の公開・領収書添付・残額の国庫返納を義務化
議員特権の見直し
- 国会議員の歳費と定数を3割カット
- 議員定数の大幅削減
- 世襲制限の断行
- 「一票の格差」解消:衆議院議員の選挙区割りについて定数削減も含めた改善
- 二重国籍規制:外国籍を有する者は被選挙権を有しないことを明確化し、国政選挙立候補者に国籍の得喪履歴の公表を義務づけ
- 被選挙権年齢の引き下げ:衆参両院とも18歳に
行政改革
- 公務員制度改革:国・地方公務員の人員・人件費を2割削減
- 公文書院の設置:独立した権限を持つ機関を新設し、ブロックチェーン技術等で改ざん防止
- デジタル歳入給付庁の設置:税と社会保険料を一体で徴収・管理
- 内閣予算局(仮称)の創設:財務省主計局から予算の企画立案機能を移管
- 官僚の待遇改善:キャリア官僚の給与を民間大企業水準に引き上げ、政治任用枠を拡大
財政規律の確保
- 予備費の見直し:過剰計上、目的重複、流用が常態化している予備費を抜本的に改革
- 基金の透明化:目的の明確化、定期報告、不用額返納により透明性と財政規律を確保
- プライマリーバランス:現実的な黒字化の目標期限を再設定し、経済成長/歳出削減/歳入改革のバランスの取れた工程表を作成
社会制度改革:現役世代重視への転換
教育と子育て支援
- 幼児教育・高校の完全無償化(所得制限なし)
- 大学・大学院などの無償化を目指す
- こども医療費の無償化
- 出生数80万人を下回る深刻な少子化に対し、現役世代の可処分所得を増やすことで子育て環境を改善
その他の社会政策
- 就職氷河期世代の安定雇用と能力開発支援
- 維新版選択的夫婦別姓制度:戸籍制度維持しつつ旧姓使用に法的効力
- 性犯罪対策:被害者支援強化と再犯防止策の法制化
外交・安全保障:積極防衛能力の整備
- 防衛費をGDP比2%まで増額(国民の負担増に頼らず)
- 積極防衛能力の整備:サイバー、宇宙空間でも防衛体制を総合的に強化
- 自衛隊員の待遇改善:公務員給与体系と切り離し大幅改善、危険業務手当充実
- 経済安全保障:貿易ルール順守国と集団での経済安全保障体制を構築
- 総合安全保障:防衛・経済・資源エネルギー・食料を含む
- ハイブリッド戦への対応力強化
- 国連安保理改革のリード
エネルギー・環境・農業・その他
エネルギー政策
- 原発の早期再稼働推進、原子力規制委員会の審査効率化
- 福島第一原発事故への国家プロジェクトとしての対応
- 処理水対応と風評被害解消
- 規制改革と投資促進によるGX推進
農業政策
「抑える農政から伸ばす農政」へ転換し、稼げる農業を目指す。多様な主体の参農支援により担い手不足を解消。
その他重要政策
- 規制改革:「事前規制から事後チェック」へ、「2:1ルール」導入
- 知的財産権保護強化
- 相続税廃止も視野、NISA恒久化とつみたてNISA投資枠拡大
- 電子カルテ普及率100%達成など行政・医療のデジタル化
まとめ:維新が目指す「改革」の本質
日本維新の会の公約は、以下の3つの柱で構成されています。
1. 経済を動かす改革 社会保険料年間6万円引き下げ(一丁目一番地)、食料品の消費税ゼロ(2年間)、消費税8%への引き下げ(中長期)、所得税・法人税減税、規制改革、年金制度の抜本改革(積立方式またはベーシックインカム)
2. 政治を動かす改革 企業・団体献金の全面禁止、政策活動費の廃止、議員の歳費と定数を3割カット、公務員の人員・人件費2割削減、公文書管理の抜本改革
3. 日本を動かす改革 現役世代重視の社会制度への転換、教育の完全無償化、積極防衛能力の整備、経済安全保障の強化
維新の特徴 世代間格差の是正(高齢者優遇から現役世代重視へ)、痛みを伴う改革(高齢者医療費の自己負担増など既得権益に切り込む)、身を切る改革(議員自らが痛みを負う)、市場原理と規制緩和(労働市場の流動化、参入障壁撤廃)、財政規律と成長重視の積極財政。
自民党との連立政権で「エンジン役」を自任する維新は、社会保険料の大幅引き下げや高齢者医療費負担増など、現役世代の支持を得られる一方で高齢者層の反発も予想される政策を掲げます。また、企業・団体献金の全面禁止や政策活動費の廃止など、連立相手の自民党とは対立する政策も含まれており、連立政権内での調整が注目されます。
「動かす」というキーワードに象徴されるように、維新は既存の制度や慣行を大きく変革することで、停滞する日本を活性化させることを目指しています。この改革路線が有権者にどう評価されるか、2026年2月の審判が待たれます。


