2025年自民党総裁選:5候補の争いと最新情勢

時事

はじめに

2025年9月、日本政治は大きな転換点を迎えています。石破茂首相の退陣表明を受けて、自民党総裁選が9月22日に告示され、10月4日の投開票に向けて熱戦が展開されています。この総裁選は、事実上の次期首相を決める選挙として大きな注目を集めています。

総裁選の背景

今回の総裁選が行われる背景には、深刻な党勢の停滞があります。昨年の衆院選、今年の参院選と連敗を重ね、両院が少数与党となる未曾有の事態に陥りました。政治資金パーティー収入の裏金問題の影響も尾を引き、党への支持率は大きく低下。国民民主党や参政党など他の政党へと支持者が流出する状況が続いていました。

こうした厳しい状況の中、党内から「石破おろし」の声が高まり、石破氏は9月7日に退陣の意向を表明。「解党的出直し」による党再生が、この総裁選の最大のテーマとなっています。

5人の候補者プロフィール

今回の総裁選には5名が立候補しています。注目すべきは、全員が2024年の総裁選からの再挑戦であることです。

高市早苗氏(64歳)

元総務大臣・前経済安全保障担当大臣。1993年初当選のベテラン議員で、経済安全保障やデジタル政策に強みを持つ保守派の論客です。

小泉進次郎氏(44歳)

現農林水産大臣。小泉純一郎元首相の次男として知られ、若手のホープとして期待を集めています。ただし、選挙戦中に陣営がネット上で好意的なコメントを依頼していた問題が発覚し、9月26日に陳謝する事態となりました。

林芳正氏(64歳)

現官房長官。外務大臣などの経験も持つベテラン政治家で、安定した政権運営を訴えています。

茂木敏充氏(69歳)

前幹事長。豊富な閣僚経験を持ち、外交・経済政策に精通した実力派です。

小林鷹之氏(50歳)

元経済安全保障担当大臣。2012年初当選と比較的若手で、経済安保の専門家として評価されています。

最新の世論調査が示す情勢

各報道機関の世論調査からは、興味深い構図が浮かび上がっています。

一般有権者の支持

日本経済新聞とテレビ東京が9月26〜28日に実施した世論調査では、高市氏が34%でトップに立ち、小泉氏が25%、林氏が14%で続いています。茂木氏は5%、小林氏は4%にとどまっています。

共同通信の調査(9月11〜12日実施)でも、高市氏が28%でトップ、小泉氏が22.5%で続くという結果が出ており、この2人が抜け出している状況です。

自民党支持層では逆転

興味深いことに、自民党支持層に限定すると順位が変わります。日経の調査では、自民党支持層では小泉氏が33%でトップに立ち、高市氏が28%、林氏が20%と続いています。

議員票の動向

時事通信が実施した国会議員への支持動向調査では、小泉氏が2割超でリードしています。一方、世論調査で人気の高い高市氏は議員票では1割強と苦戦。林氏が2割弱と健闘している状況です。ただし、約4分の1の議員が態度未定であり、情勢は流動的です。

選挙の仕組み

今回は「フルスペック型」と呼ばれる党員参加型の選挙方式で行われます。党所属の国会議員295票と、同数が割り当てられる党員・党友票の計590票を争います。1回目の投票で過半数を得た候補者がいなければ、上位2人による決選投票となります。

主要な争点

選挙戦の主要な争点は以下の通りです。

物価高対策

各候補とも家計支援策を打ち出しており、ガソリン税の一部廃止などで一致しています。ただし、減税の是非や財源確保の方法では温度差があります。

党勢回復

連敗続きの選挙結果を踏まえ、どのように国民の信頼を回復し、党を立て直すかが問われています。

少数与党の政権運営

両院で過半数を失った状況で、野党との関係構築や政策実現をどう進めるかが重要な課題となっています。

選挙戦の動き

9月27日には、ひろゆき氏がMCを務めるネット討論会が開催され、経済政策を中心に議論が交わされました。また、9月27日には名古屋で地方演説会が開催され、約3000人の党員らが候補者の訴えに耳を傾けました。会場には入場制限がかかるほどの人出となり、党員の関心の高さがうかがえました。

今後の日程

  • 9月30日(火) – 政策討論会(オンライン配信)
  • 10月2日(木) – 大阪での演説会
  • 10月3日(金) – 党員投票締切
  • 10月4日(土) – 投開票日

まとめ

現在の情勢を総合すると、世論では高市氏と小泉氏が抜け出しているものの、議員票では小泉氏と林氏が健闘しており、混戦模様となっています。約4分の1の議員が態度未定であることも考えると、10月4日の投開票日まで予断を許さない状況が続きそうです。

新総裁は少数与党という困難な状況の中で舵取りを担うことになります。「解党的出直し」を掲げる今回の総裁選が、自民党と日本の政治にどのような変化をもたらすのか、大きな注目が集まっています。


この記事は2025年9月29日時点の情報に基づいています。

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