自民党・第51回衆議院選挙公約を読み解く:高市政権が掲げる「日本列島を、強く豊かに」

時事

2025年の衆議院選挙に向けて、自民党が公約パンフレット「日本列島を、強く豊かに」を公表しました。高市早苗総裁のもと、「挑戦しない国に未来はない」という明確なメッセージを掲げ、経済、安全保障、社会保障、憲法改正の各分野で大胆な政策を打ち出しています。

高市政権発足3か月の実績と物価高対策

公約では、まず高市内閣発足から3か月の取り組みとして、最優先課題の物価高対策を強調しています。

主な支援策

  • 電気・ガス代支援:世帯当たり約7,300円(3か月間)
  • 生活者支援:4人家族で総額3.2万円
  • 子育て応援手当:こども1人当たり2万円
  • 中小企業支援:政府全体で1兆円規模
  • 医療従事者:+3%、介護職員:月1万円~最大1.9万円、保育士等:+5.3%

ガソリン税・軽油引取税の暫定税率廃止(目玉政策)

  • ガソリン税25.1円/ℓ廃止(2025年12月31日)
  • 軽油引取税17.1円/ℓ廃止(2026年4月1日)
  • 1世帯当たり年間約1.2万円の減税効果
  • 2026年4月には環境性能割も廃止

所得税減税「年収の壁見直し」 基礎控除・給与所得控除を178万円以上に拡大し、納税者1人当たり約3~6万円の所得税減税を実施(2026年の年末調整から)。

強い経済政策:「責任ある積極財政」への転換

「低成長、予算単年度主義、経済的威圧の壁を超える」

従来の単年度予算主義と決別し、複数年での機動的な財政出動を可能にする新しい予算枠を設定。「政府債務残高の対GDP比」を着実に低下させながら、「投資と成長の好循環」を実現します。

危機管理投資・成長投資

  • AI・半導体、量子、核融合、バイオ、航空、宇宙、造船など17の戦略分野に投資集中
  • 経済安全保障、食料・エネルギー・資源、国土強靱化、サイバーセキュリティに戦略的投資
  • コンテンツ産業(マンガ、アニメ、映画等)のクリエイター育成・海外展開支援

経済安全保障の強化 日本を再びテクノロジー大国へと押し上げ、他国に過度に依存しない「自律性」と他国から必要とされる「不可欠性」を獲得。

  • レアアース等の重要鉱物の鉱山開発・精錬事業支援と国家備蓄
  • 日本版CFIUS(対日外国投資委員会)の創設に向けた法整備

エネルギー安全保障

  • 原子力発電所の再稼働推進
  • 国産ペロブスカイト太陽電池や地熱の最大限活用
  • 次世代革新炉やフュージョンエネルギーの早期社会実装でエネルギー輸入国からの脱却
  • 不適切な太陽光発電事業への法的規制強化

地方創生:地方が日本経済のエンジンに

「都市集中の壁を超える」

中小企業へのプッシュ型伴走支援や価格転嫁の適正化により「稼ぐ力」を強化。農林水産業では、すべての田畑のフル活用と食料安全保障の確立、輸出推進を実施。地方に大規模投資を呼び込み、地域ごとに産業クラスターを戦略的に形成します。オーバーツーリズム対策とインバウンド受入れの両立も図ります。

安全保障と外交:「国際社会分断の壁を超える」

安全保障体制の強化 中国の軍備増強、北朝鮮の核・ミサイル開発、ロシアのウクライナ侵略など地政学的緊張が常態化する中、以下を実施:

  • 本年中に国家安全保障戦略を含む「三文書」を改定
  • 防衛装備移転三原則の運用指針5類型を撤廃し、積極的に推進

インテリジェンス機能の強化

  • 国家情報会議設置法(仮称)を早期成立させ、官邸直属の国家情報局を創設
  • 対外情報機関の設置
  • 外国代理人登録法等の関連法制整備

外交政策

  • 日米同盟を基軸に「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を推進
  • 同志国・地域やグローバルサウス諸国との連携強化
  • 中国とは建設的かつ安定的な関係構築を目指す一方、挑発的な行為には毅然と対応
  • 台湾海峡の平和と安定の重要性を明記
  • すべての拉致被害者の即時一括帰国実現に向けあらゆる手段を尽くす

全世代型社会保障:「人口減少の壁を超える」

社会保障 医療・福祉・介護分野の確実な賃上げ、中・低所得者の税・社会保険料負担軽減のため「給付付き税額控除」を制度設計。

こども・子育て 3.6兆円規模の「加速化プラン」推進。標準的な出産費用の自己負担無償化(次期国会に法案提出)、ベビーシッターや家事支援サービスの負担軽減。

教育・外国人政策・その他 高校授業料無償化を機に高校教育改革を推進。外国人の住宅・土地取得のルール見直しで安全保障面の懸念を払拭。飲食料品を2年間に限り消費税の対象としないことを「国民会議」で検討加速。マイナンバー連携でプッシュ型給付インフラを構築。

防災と災害復興 老朽化インフラの整備・保全で事前防災を徹底。副首都機能整備を含む法案を策定。東日本大震災の第3期復興・創生期間、能登半島地震の復興を推進。

憲法改正と令和の政治制度改革

戦後80年、立党70年を迎え、時代にふさわしい憲法改正を目指します。

憲法改正4項目

  1. 自衛隊の明記
  2. 緊急事態対応
  3. 合区解消・地方公共団体
  4. 教育の充実

皇位継承 「皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とする」案を第一優先として皇室典範の改正を目指す。

政治改革

  • 旧氏の通称使用の法制化
  • 衆議院議員定数を一割削減(次期国会で法案成立を目指す)
  • 政治資金の透明性・公開性の一層の強化(「禁止よりも公開」)
  • 令和9年9月30日までに国会有識者会議で幅広く検討し、必要な法制上の措置を講じる

まとめ:高市政権が描く日本の未来

自民党公約「日本列島を、強く豊かに」は、「挑戦しない国に未来はない」という信念のもと、経済安全保障、地方創生、安全保障・外交、全世代型社会保障、憲法改正の5本柱で構成されています。

単年度予算主義との決別を宣言し、複数年の戦略的投資を可能にする「責任ある積極財政」への転換が最大の特徴です。経済安全保障を前面に押し出し、他国の経済的威圧に屈しない「自律性」と「不可欠性」の獲得を目指します。

ガソリン税暫定税率廃止や飲食料品の消費税特例措置検討など即効性ある減税策、防衛装備移転三原則運用指針5類型の撤廃、国家情報局の創設など、大胆な政策転換が並びます。

この公約が実際にどの程度実現されるのか、他党の公約とどう異なるのか、今後の選挙戦での議論が注目されます。

政権公約2026|「日本列島を、強く豊かに。」 2026年 第51回 衆議院選挙|自由民主党
「日本列島を、強く豊かに。」政権公約2026をご覧いただけます。
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