トランプ大統領、マクロン主催のG7首脳会議を欠席へ——グリーンランド問題で米欧対立深まる

世界

2026年1月21日、アメリカのトランプ大統領がフランスのマクロン大統領が呼びかけたパリでのG7首脳会議への出席を拒否したことが明らかになりました。背景には、デンマーク自治領グリーンランドの領有をめぐる米欧間の深刻な対立があります。

今回の出来事

トランプ大統領は1月20日、マクロン大統領が22日にパリで開催を呼びかけた先進7カ国(G7)会合への出席を否定しました。トランプ氏は「彼(マクロン氏)のことは好きだが、直接関係のある人たちと会談すべきだ」と述べ、出席しない意向を表明しています。

代わりにトランプ大統領は、21日からスイスで開かれている世界経済フォーラム年次総会(通称「ダボス会議」)に出席し、グリーンランド問題について関係者と「多くの会議が予定されている」と明らかにしました。また、グリーンランドをめぐって対立している欧州と「満足できる解決策が見つけられるだろう」との認識を示しています。

G7(主要7カ国首脳会議)とは

G7は、世界の主要先進国である日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの7カ国の首脳が集まり、国際社会が直面する課題について議論する枠組みです。

G7の起源は1975年にさかのぼります。当時は第一次石油危機による世界経済の混乱に対応するため、米国と欧州主要国、日本の6カ国がフランス・パリ郊外のランブイエに集まったのが始まりでした。翌年にカナダが加わり「G7」となりました。

その後、冷戦終結に伴いロシアが参加して「G8」となった時期もありましたが、2014年のロシアによるクリミア半島併合を受けてロシアは脱退し、現在は再び「G7」として活動しています。

毎年持ち回りで議長国が決まり、議長国が年次サミット(首脳会議)を開催します。2026年はフランスが議長国を務めており、本来の年次サミットは夏に東部エビアンで予定されていますが、今回マクロン大統領が呼びかけたのは、グリーンランド問題への緊急対応を協議するための臨時会合でした。

グリーンランド問題——なぜトランプ氏は領有にこだわるのか

今回のG7欠席の背景にあるのが、トランプ大統領によるグリーンランド領有構想です。

グリーンランドはデンマークの自治領で、世界最大の島として知られています。トランプ氏は第1次政権時代から同島の取得に意欲を示してきましたが、2期目に入った2026年、その姿勢は一段とエスカレートしています。

トランプ氏がグリーンランドにこだわる理由は主に安全保障上の観点です。北極圏に位置するグリーンランドは、ロシアや中国からの脅威に対する防衛拠点として戦略的価値が高いとされています。また、レアアース(希土類)などの地下資源も豊富で、経済的な魅力もあります。

しかし、デンマークとグリーンランドは「島は売り物ではない」と強く反発。グリーンランドのニールセン首相は「もううんざりだ」と苛立ちを見せています。

欧州との対立激化——関税措置で圧力

1月17日、トランプ大統領はグリーンランド領有に反対する欧州8カ国(デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フランス、ドイツ、イギリス、オランダ、フィンランド)からの全輸入品に、2月1日から10%の関税を課すと発表しました。さらに、6月には25%に引き上げるとも警告しています。

これは、欧州諸国がトランプ氏の領有構想に反対し、グリーンランドにNATO形式の軍事演習のため部隊を派遣すると表明したことへの報復措置とされています。

欧州側は「脅しは受け入れられない」と一斉に反発。EUは930億ユーロ(約17兆円)相当の米国製品に報復関税を課す可能性を検討しており、米欧関係は急速に悪化しています。

ダボス会議でも批判相次ぐ

トランプ大統領が出席するダボス会議でも、グリーンランド問題をめぐって欧州首脳からの批判が相次いでいます。

EU(欧州連合)のフォンデアライエン欧州委員長は「主権と領土は交渉の対象にならない」と述べ、アメリカの姿勢を強く牽制しました。

トランプ氏は「みなにとってよい結果になるだろう」と楽観的な見方を示していますが、欧州側との溝は深まるばかりです。

「G7マイナス1」の現実

実は、トランプ大統領がG7を軽視する姿勢は今回が初めてではありません。

2025年6月にカナダで開催されたG7サミットでも、トランプ氏は途中で帰国し、残りの6カ国首脳だけで議論を続ける「G7マイナス1」状態となりました。2018年のカナダ・シャルルボワサミットでは、一度署名した首脳宣言を後から撤回するという前代未聞の事態も起きています。

マクロン大統領は、そうした経緯を踏まえながらも今回の臨時会合を呼びかけましたが、トランプ氏は応じませんでした。西側先進国の結束を象徴してきたG7の存在意義が、改めて問われています。

今後の展望

グリーンランド問題は、単なる領土紛争にとどまらず、米欧関係の根幹を揺るがす事態に発展しつつあります。

トランプ氏は関税を武器に欧州への圧力を強めていますが、欧州側も報復措置を検討しており、事態のエスカレートが懸念されます。NATOの結束にも影を落としかねません。

2月1日の関税発動を前に、外交的解決の糸口は見つかるのでしょうか。ダボス会議での各国首脳間の協議が注目されます。

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