【第51回衆院選】主要政党の外交・安全保障政策を徹底比較

時事

2026年2月8日投開票の第51回衆議院選挙に向け、各党の外交・安全保障政策を比較する。今回は対米・対中関係、防衛・安全保障体制、インテリジェンス(情報機関)の3つの軸で整理した。

日米同盟と対中政策:同盟強化か、対話重視か

日米同盟に対する姿勢は、各党の外交路線を象徴的に分ける。

自民党は日米同盟を外交・安全保障の「基軸」と位置づけ、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を推進する。中国とは「建設的かつ安定的な関係」構築を目指しつつ、挑発には「毅然と対応」する方針だ。台湾海峡の平和と安定を重視し、拉致被害者の即時一括帰国を求める。

日本維新の会も日米同盟強化の立場だが、経済安全保障体制の構築やハイブリッド戦への対応強化を重視し、『国家情報局』創設など情報機能の強化を掲げる。国連安保理改革で日本がリーダーシップを発揮すべきとも主張する。

国民民主党は日米同盟を基盤としながら、外国人土地取得規制や領海・国境・離島対策の強化を訴える。食料・エネルギー安全保障も重点課題だ。

一方、中道改革連合(立憲民主党と公明党が合流)は大きな転換を示した。26年間自民党と連立を組んできた公明党が離脱し、野党第一党の立憲民主党と新党を結成したこと自体が衝撃だが、政策面でも注目すべき変化がある。従来の立憲民主党は安保法制を「違憲」としていたが、中道改革連合は専守防衛を基本に日米同盟と平和外交を軸とし、憲法改正論議の深化を掲げる。日米同盟と平和外交を軸としつつ、専守防衛を基本とする。憲法改正論議についても、自衛隊の位置付けを含めた議論に前向きな姿勢を示しており、政界再編の象徴的な政策転換といえる。

日本共産党れいわ新選組社民党は日米同盟の見直しや縮小を求める点で共通する。共産党は日米安保条約廃棄と日米友好条約締結を掲げ、中国とは「互いに脅威とならない」原則での関係構築を提唱。ASEANと協力した東アジア平和外交を推進する。社民党も辺野古新基地建設反対、日米地位協定の抜本改正を訴える。

日本保守党は価値観外交を掲げ、自由・民主・法の支配・人権を共有する国との連携強化を主張。中国など周辺諸国の人権問題には「日本版ウイグル人権法」制定で対応し、台湾関係では「日本版台湾関係法」「台湾旅行法」制定を公約する。北朝鮮拉致問題では圧力強化と国際連携を訴える。

防衛費と軍事力:増額派と反対派の対立

防衛費をめぐっては明確な対立軸がある。

自民党は防衛費の増額を掲げ、2%水準の早期達成を目指す。NATOが2025年に合意した新目標(2035年までにGDP比5%、うち国防費3.5%+安全保障関連支出1.5%)を参照した議論も党内で始まっている。防衛装備移転三原則の運用指針見直しも進める方針だ。維新もGDP比2%増額と積極防衛能力の整備を主張し、自衛隊員の待遇改善を訴える。

国民民主党は防衛費の在り方について具体的数値を示さないものの、スパイ活動防止対策強化や経済安全保障を重視する。中道改革連合は防衛増税には反対しつつ、防衛産業基盤の強化と調達適正化を掲げる。

対照的に、共産党は防衛費GDP比3.5%(約21兆円)への増額に反対し、安保法制の廃止と憲法9条堅持を訴える。れいわ新選組も5年間43兆円の防衛費増額中止と敵基地攻撃能力保有反対を主張。社民党は南西シフト反対、安保3文書廃棄、武器輸出拡大中止を掲げる。

日本保守党は憲法9条改正(2項削除、自衛のための実力組織保持明記)を主張し、防衛研究への助成促進と防衛産業への政府投資促進を訴える。自衛隊法改正で在外邦人救助を可能にすることも公約だ。

インテリジェンス:情報機関新設か、監視社会への懸念か

外交・安全保障におけるインテリジェンス(情報収集・分析)体制も論点となっている。

自民党は「国家情報局」創設と対外情報機関の設置を提唱。外国代理人登録法の整備も視野に入れる。国民民主党参政党日本保守党もスパイ防止法の制定を主張する。日本保守党はさらに諜報専門機関の設置を公約に掲げる。

これに対し、社民党はスパイ防止法を「現代版治安維持法」と批判し、反対の立場を明確にする。監視社会化への懸念から、情報機関強化に慎重な姿勢だ。共産党も同様の立場をとる。

チームみらいは、防衛力強化を「喫緊の課題」と認識しつつ、特にサイバー防衛能力の強化を重視する。憲法改正については「社会の変化に合わせて検討すべき」としながらも、個別論点ごとの丁寧な合意形成を求める立場だ。デジタル民主主義やテクノロジー政策に特化した政党のため、伝統的な外交・安保分野では他党ほど詳細な方針を示していない。

各党の外交・安全保障政策は、日米同盟の評価、防衛力整備の方向性、情報機関の在り方で大きく異なる。有権者は自らの価値観と照らし合わせ、投票先を検討してほしい。


本記事は各党の公式マニフェスト・政策集に基づき作成しました。政策の詳細は各党公式サイトをご確認ください。

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