2026年1月9日、高市首相が1月23日召集予定の通常国会冒頭での衆議院解散を検討していると報道されました。高い内閣支持率を背景に政権基盤を安定させる狙いがあり、自民党の情勢調査では260議席超との予測も出ています。本記事では、「衆議院の解散」について基礎から解説します。
衆議院の解散とは何か?
衆議院の解散とは、「任期満了前に衆議院議員全員の議員としての身分を失わせる行為」です。衆議院議員の任期は4年ですが、実際に任期満了まで務めたのは戦後1976年の三木武夫内閣のみです。
解散されると、憲法第54条により解散から40日以内に総選挙、選挙から30日以内に国会召集、その後内閣総辞職と新総理指名、組閣という流れで、最長70日以内に新政権が誕生します。解散は衆議院のみで、参議院にはありません。
誰が解散を決めるのか?
「解散は総理の専権事項」と言われますが、憲法上の決定権は「内閣」にあります。総理大臣は国務大臣の任免権を持つため、事実上解散の閣議決定を引き出せます。
解散には**憲法第7条(7条解散)と憲法第69条(69条解散)**の2種類があります。7条解散は天皇の国事行為として定められ、実質的決定権は内閣が持ち、戦後約18回実施されています。69条解散は内閣不信任案可決時の選択肢で、戦後4回のみです。1952年の「苫米地事件」で最高裁は、解散の是非は「裁判所の審査権の外にある」として政治と国民に委ねるという立場を示しました。
なぜ解散をするのか?
衆議院を解散する主な目的は、(1)内閣の議会に対する抑制手段として権力の均衡を図ること、(2)重要な政治問題について民意を問うことです。解散が正当化される場合として、内閣の重要案件否決、政界再編成、新しい重大課題への対処、基本政策の変更、任期満了の近接などがあります。ただし法的拘束力はなく、与党に有利な時期を狙った「戦略的解散」も行われています。
過去の有名な解散事例
過去には吉田茂首相の「バカヤロー解散」(1953年)、中曽根康弘首相の「死んだふり解散」(1986年)、小泉純一郎首相の「郵政解散」(2005年)、安倍晋三首相の「国難突破解散」(2017年)、岸田文雄首相の「コロナ解散」(2021年、就任10日後で戦後最短)など様々な解散がありました。「大義なき解散」と批判されることもありますが、最終判断は選挙で有権者が下します。
今回の高市首相による解散検討の背景
高市首相が解散を検討しているのは、高い内閣支持率を維持している今こそ政権基盤を安定させる好機だと判断したためです。自民党の情勢調査では260議席超の予測が出ています。現在、衆議院はぎりぎり過半数、参議院は少数与党のため、積極財政など首相の肝いり政策を進めにくい状況です。また台湾有事答弁で日中関係が緊張しており、選挙で求心力を高めたいとの意図もあります。予算審議前の冒頭解散により、高支持率で選挙に臨めるメリットがあります。
解散権をめぐる論点
近年、憲法学者の間では「解散権の制限」を求める議論が高まっています。野党からは「党利党略の解散」「解散権の濫用」との批判も出ており、解散後一定期間の再解散禁止、緊急事態時の解散禁止といった制限を設けるべきだとの意見もありますが、憲法改正が必要で実現のハードルは高いのが現状です。
私たち国民にとっての意味
衆議院が解散されると、私たち国民には「投票」という重要な機会が与えられます。解散が正当だったか、現政権を支持するかは、最終的に選挙で国民が判断します。衆議院解散と総選挙は民主主義の根幹をなす制度です。解散が発表されたら、各政党の公約や政策、実績を見極め、自分の考えに最も近い候補者・政党に投票することが民主主義を機能させる基本です。
今回、高市首相が通常国会冒頭での解散を検討しているとの報道がありました。実際に解散が行われるかは今後の情勢次第ですが、もし解散となれば、私たち一人ひとりが政治について真剣に考え投票所に足を運ぶ機会となります。あなたの一票が日本の未来を決めます。
