今求められる防災対策―「備えあれば憂いなし」を実践するために

社会

2025年を迎えた今、日本は「多発災害時代」に直面しています。地震、豪雨、台風、そしてこれらが同時期に発生する複合災害のリスクが同時に高まっているのです。南海トラフ地震は今後30年以内に発生する確率が80%、首都直下地震は70%という高い数字が示されており、いつ発生してもおかしくない状況です。本記事では、2025年の最新情報をもとに、今本当に必要な防災対策について考えます。

日本が直面する巨大地震のリスク

南海トラフ地震の脅威

南海トラフ地震は、静岡県から宮崎県にかけての太平洋沿岸部に甚大な被害をもたらすと予測されています。内閣府の想定では、最悪の場合、死者約32万3,000人、建物の全壊・焼失棟数約238万6,000棟、経済被害約169兆5,000円という、東日本大震災(16.9兆円)をはるかに超える規模の被害が想定されています。

静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となる可能性があり、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10メートルを超える大津波の襲来が想定されています。過去1,400年間を見ると、南海トラフでは約100~200年の間隔で大地震が発生しており、昭和東南海地震(1944年)、昭和南海地震(1946年)から70年以上が経過した今、発生の可能性が高まっています。

首都直下地震の危機

首都直下地震は、東京都、茨城県、千葉県、埼玉県、神奈川県、山梨県を中心に、30年以内に70%の確率で発生すると予測されています。最悪の場合、死者約2万3,000人、建物の全壊・焼失棟数約61万棟、経済被害約95兆円という被害が想定されています。

首都圏は人口が密集し、日本の政治・経済の中枢機能が集中しているため、群衆雪崩や感染症の発生といった二次災害も懸念されます。東京都の2022年の新たな被害想定では、都心南部直下地震で震度6強以上の範囲が区部の約6割に広がり、建物被害は約19万棟に上るとされています。

2025年の防災政策と最新トレンド

防災DX(デジタル防災)の推進

2025年の防災政策で注目されているのが「防災DX」です。デジタル庁は、AIが地域ごとの避難経路や危険度分布を可視化する仕組みを推進し、気象庁のハザード情報とも連携が進んでいます。

スーパーコンピュータ「富岳」と最新の気象シミュレーターを組み合わせ、台風に伴う竜巻の予測や、ゲリラ豪雨の予測精度が大幅に向上しています。個人でもスマートフォンアプリでリアルタイム避難情報を受け取れる時代になりました。

多様な避難スタイルへの対応

2025年の防災白書では、「避難所」だけでなく、自宅避難や車中避難、親戚宅避難といった多様な避難スタイルへの対応が政府・自治体レベルで進められています。災害のタイプによって最適な選択肢は変わるため、「個別ニーズ」への配慮が重視されるようになりました。

家庭でできる具体的な防災対策

現実:備えが進んでいない日本の家庭

2025年7月の調査によれば、家庭内の防災の備えは「できていない」が74%に上り、避難場所については自宅近くでも6割、通勤・通学先では9割が「わからない」という衝撃的な結果が出ています。

また、2025年度の防災食備蓄率は59.0%と前年から改善したものの、依然として6割に届いていません。特に、備蓄していない理由のトップが「お金がかかる」(28.1%)で、前年から6.3ポイント増加したことが特徴的です。

今すぐ始められる対策

1. ローリングストックの実践

ローリングストック実施率は2025年に24.6%と過去最高を記録しました。これは、普段から食べられる非常食を多めに買い置きし、使った分だけ補充していく方法です。特別な非常食を用意するよりもコストを抑えられ、賞味期限切れも防げます。

2. 家具の転倒防止対策

地震による死者の多くは、建物の倒壊や家具の転倒・落下によるものです。100円ショップのグッズでも家具を固定でき、大きな効果があります。

3. 感震ブレーカーの設置

首都直下地震では、死者の約3分の2が火災によるものと想定されています。感震ブレーカーは、地震の揺れを感知して自動的に電気を遮断し、通電火災を防ぎます。

4. 防災グッズの見直し

2025年の防災グッズ大賞では、「簡易型止水板」や「耐火バッグ」など、水害対策や多目的に使える製品が選ばれました。「食料と水」だけでなく、以下の分野での備えが重要です。

  • 電力の確保:ポータブル電源、ソーラーパネル
  • 衛生用品:簡易トイレ、生理用品、消臭袋
  • 情報収集:手回しラジオ、モバイル通信環境
  • 暑さ・寒さ対策:アルミブランケット、冷却マット
  • 心のケア:家族との連絡手段、娯楽用品

5. 避難場所と避難経路の確認

ハザードマップポータルサイトで、自宅や職場周辺の危険箇所を確認しましょう。家族との避難先を共有し、複数の避難経路を確認しておくことが重要です。

「日常の延長」として防災を考える

総務省の調査によると、防災意識が高い人でも実際に準備をしている人は全体の約30%にとどまります。継続できない最大の原因は、「面倒」「日常と切り離して考えてしまう」ことです。

防災は「特別な準備」ではなく、「日常の延長」で進めることが、無理なく継続するポイントです。

  • 毎月1日を「防災チェックの日」として非常食の賞味期限や電池の残量を見直す
  • 通勤用カバンにモバイルバッテリーと小型ライトを常備する
  • 普段の買い物で非常食になるものを多めに購入する

こうした小さな習慣の積み重ねが、いざという時に命を守ります。

まとめ:「自分ごと」として考える

南海トラフ地震や首都直下地震は、いつ発生してもおかしくありません。しかし、内閣府の報告では、建物の耐震化や出火防止策、津波避難対策などを講じれば、被害は確実に減らすことができると指摘されています。

2025年は、防災DXの推進により、より正確な情報がより早く得られる環境が整いつつあります。しかし、最終的に命を守るのは、一人ひとりの備えです。

「防災はやるか、やらないかではなく、できるところから始めるかどうか」です。今日から、できることから始めてみませんか。家族で防災について話し合い、備蓄品を確認し、避難場所を確認する。その小さな一歩が、いざという時にあなたと家族の命を守ることになります。

「備えあれば憂いなし」―この言葉を、2025年こそ実践する年にしましょう。

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