第2次高市内閣(高市内閣2.0)が発足——何が変わる?課題と期待を徹底解説

時事

2026年2月18日夜、第2次高市内閣が正式に発足しました。2025年10月に誕生した第1次高市内閣は、衆院選後に召集された特別国会の開幕に伴い憲法の規定に基づいて総辞職。衆参両院の首相指名選挙を経て高市早苗氏が第105代内閣総理大臣に選出され、そのまま新内閣を発足させました。

選挙での歴史的な圧勝を受けてスタートした「高市内閣2.0」。いったい何が変わり、何が課題で、これから何に期待できるのか——順を追って解説します。

「歴史的圧勝」という出発点

まず、今回の衆議院選挙(2026年2月8日投開票)の結果を振り返ると、この内閣の背景が見えてきます。

高市自民党は465議席中316議席を獲得。一つの政党が単独で3分の2(310議席)を上回る議席を確保するのは戦後初のことです。日本維新の会と合わせると与党側は352議席に達し、国会運営において圧倒的な数的優位を得ました。

この結果を受け、高市首相は自民党両院議員総会で「挑戦しない国に未来はない。ともに希望ある未来を作り上げるために挑戦していこう」と呼びかけました。一方で「白紙委任を得たつもりはない」とも述べており、大勝に慢心せず「謙虚に大胆に」政権運営に臨む姿勢を強調しています。

第2次内閣の概要——何が変わったのか?

全閣僚を再任、政策の継続性を重視

第2次高市内閣の最大の特徴は、第1次内閣の全閣僚をそのまま再任した点です。2025年10月の政権発足からわずか4カ月しか経過していないことを踏まえ、首相は「閣僚は私が自信を持って選び、必死で仕事をしてもらっている最中だ」として人事を刷新しない判断をしました。

これにより、政策の継続性と実行スピードが担保されます。新内閣発足時にありがちな「顔ぶれ一新」による省庁内の混乱や政策の停滞は、今回は起きにくい環境といえます。

党人事は一部刷新——憲法改正に布石

一方、自民党4役については一部入れ替えがありました。選挙対策委員長だった古屋圭司氏を衆院憲法審査会長に起用し、後任に西村康稔元経済産業相を充てました。高市首相に近い古屋氏を憲法審の要職に据えることで、政権が力を入れる憲法改正に向けた体制整備が着々と進んでいます。

維新は引き続き「閣外協力」

連立パートナーの日本維新の会については、今回も閣内への入閣は見送られ、「閣外協力」の形が継続されました。高市首相は「次の内閣改造・党役員人事(秋ごろを想定)のタイミングで維新から閣僚を起用する方針」を示しており、より緊密な連携体制への移行が秋以降の焦点となります。

主要政策——高市内閣2.0が掲げること

1. 「責任ある積極財政」——成長による財政健全化

高市政権の経済政策の根幹をなすのが「責任ある積極財政」というコンセプトです。首相は記者会見で「重要な政策転換の本丸は責任ある積極財政だ」と強調しました。

これは、従来の緊縮路線とは一線を画すもので、戦略的な財政出動によって経済成長を促し、税収増を通じて財政の持続可能性を実現しようという考え方です。企業の研究開発や設備投資を後押しするため、「複数年度予算や長期にわたる基金による政策支援」も可能にする仕組みを導入する方針を打ち出しており、従来の単年度予算主義からの転換も視野に入れています。

2. 消費税ゼロ(食料品)と給付付き税額控除

注目度の高い政策が、食料品に関する消費税を2年間ゼロにするという構想です。首相は「給付付き税額控除の導入や2年間の食料品消費税ゼロの実現に向けて課題の検討を加速する」と述べ、超党派の「国民会議」で野党にも参加と早期開催への協力を呼びかけています。

ただし、消費税減税は財源確保の問題が最大のハードルです。減収分をどのように穴埋めするかの具体的な道筋はまだ見えておらず、実現に向けた議論はこれから本格化します。

3. 防衛力強化とインテリジェンス機能の整備

外交・安全保障面では、防衛費の増額と自衛隊の能力強化を引き続き推進します。また、高市政権が独自色を打ち出してきた「インテリジェンス機能の強化」——情報収集・分析能力の向上——も重要な柱の一つです。

3月にはホワイトハウスでトランプ米大統領との日米首脳会談も調整中とされており、圧倒的な政権基盤を背景にした首脳外交も本格展開していく見通しです。

4. 憲法・皇室典範の改正

首相は「憲法や皇室典範の改正にも取り組む」姿勢を明確にしました。前述の古屋氏の憲法審査会長起用がその準備の一環です。3分の2超の議席を持つ今の体制は、衆院での憲法改正発議に必要な条件を単独で満たしており、改正論議が一気に加速する可能性があります。

主な課題——高市内閣2.0が直面するハードル

課題①:2026年度予算案の成立

最も緊急性の高い課題が、2026年度予算案の審議です。高市首相が1月の通常国会冒頭で衆議院を解散したため、予算案の審議入りは例年より大幅に遅れています。3月末の年度末までに成立させようとすれば、残り時間はほとんどありません。

政府・与党は当初から「暫定予算で対応し、5月の大型連休前の成立を目指す」方向で動いていましたが、首相は「年度内成立を諦めない」と強気の姿勢も見せています。与党が衆院で3分の2超を持つため、参院送付後30日で自然成立させる「60日ルール」を使えば強行突破も理論上は可能ですが、野党が「国会の自殺行為だ」と強く反発しており、与野党の対立は冒頭から激化することが予想されます。

課題②:消費減税の財源問題

食料品消費税ゼロは多くの国民が歓迎する政策ですが、実現するためには莫大な財源が必要です。どの財源から捻出するのか、国債発行をどこまで認めるのか——積極財政路線の中でも、財政規律とのバランスをどう取るかが問われます。市場関係者の間では「選挙後は積極財政姿勢が修正されるのではないか」という観測も根強く、政策の実行過程で市場との対話が重要になります。

課題③:外交・安保——対米中のかじ取り

米国ではトランプ政権が続いており、関税問題や在日米軍費用負担の増額要求など、日米間の経済・安保摩擦は今後も続くとみられます。普天間基地の返還問題では、米国防総省が「長滑走路の確保」を条件にする立場を示しており、日本側との食い違いが表面化しています。

一方、中国の海洋進出や台湾問題をめぐる緊張も続きます。防衛費増額と外交努力のバランスをとりながら、複雑な対米・対中関係をどう管理するかが、この政権の外交力の真価が問われる場面となるでしょう。

課題④:「巨大与党」への批判と民主主義の健全性

戦後初となる単独3分の2超という圧倒的多数は、政策実行力の面では強みですが、同時に「独走」や「数の横暴」への懸念も生みます。中道改革連合の小川淳也代表は「野党第1会派としてしっかり巨大与党に対峙し、権力監視の仕事をやっていく」と宣言しており、野党が実質的なチェック機能を果たせるかが国会の健全性を左右します。

与党が自制し、丁寧な国会審議を確保できるかどうかも、長期政権を安定的に維持できるかを左右する重要な要素です。

今後への期待——高市内閣2.0に何ができるか

「2年間」で積極財政を本格実装

日経新聞は「高市首相、長期政権にらみ足場固め——2年間で積極財政実行へ」と報じており、首相自身も「約2年の時間を要する大改革」と語っています。安定した政権基盤を持つ今こそ、これまで手がつけられなかった中長期的な経済構造の改革を実行できるタイミングです。複数年度予算の導入や大型の成長投資が実現すれば、日本経済の体質が変わる可能性があります。

超党派で税制改革を推進

消費税減税をめぐる「国民会議」が実現し、与野党が同じテーブルにつくことができれば、従来の対立構造を超えた政策議論が期待できます。高市首相が「白紙委任を得たつもりはない」と述べているように、圧倒的多数を持ちながらも対話姿勢を維持できるかが長期政権の鍵を握ります。

台湾・インド太平洋地域の安定への貢献

台湾の頼清徳総統が「心よりお祝い」とのメッセージを送るなど、高市政権への周辺国からの関心は高まっています。安全保障面での日本の存在感を高めながら、地域の平和と安定に積極的に関与する「外交する日本」の実現に期待が集まっています。

まとめ

第2次高市内閣は、戦後初の単独3分の2超という強大な政権基盤を持ってスタートしました。「責任ある積極財政」「消費税ゼロ(食料品)」「防衛力強化」「憲法改正」という大きな柱を掲げ、日本政治が大きく動こうとしています。

一方で、予算審議の遅れ、財源問題、対米中外交の難しさ、そして「巨大与党」への監視という課題も山積しています。「謙虚に大胆に」という首相自身の言葉が試されるのは、まさにこれからです。今後の国会論戦や政策の実行過程から、目が離せません。

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